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RON価格推測


前回の年末に掲載した記事で、当誌は「12月下旬から1月にかけて、デジタル資産の強気相場が始まるだろう」と予想した。しかしサンタは現れず、それに続いて1月も低調であったことから、当誌の予測は全くの見当違いだったと言えよう。12月はデジタル資産と、デジタル資産と価値が連動する企業にとって過酷な月となった。新年からの値動きについては更に悪い。


そんな大波乱の年末年始の様子を鑑みて、「デジタル資産のイケイケムードは終わった」という声が最近大きくなっているのは当然だろう。しかしその弱気観の根拠はどこにあるのか?この点は後で触れるが、先に6か月前の似たような市況を振り返ろう。2021年6月、デジタル資産投資の絶望がピークに達していた頃、当誌は「弱気論を論破する」という記事を掲載した。この記事では、世間でよく耳にしていた多くの弱気論に体系的に反論してた(中にはまるでナンセンスなものもあった)。結果的に当誌のボトム予想は3週間早かったわけだが、かなり真相に迫っていただろう。当誌の予想通り、その後の6か月をかけて、一つ一つの弱気論がゆっくりと反故になっていった。そして現在はまた弱気論が増えているようだ。実際のところ、デジタル資産の投資家の間で弱気が伝播しているのは、2018年のreduxの再来を恐れているからだ(2018年と今の市場成長を比べればそんなことはあり得ないだろう)。あるいはFRBの幹部が発する鶴の一声でリスク資産が壊滅するとでも思っているのだろう(そうなるとFRBが長期に亘ってダラダラと居続ければリスクマーケットはすべて、即、完全に破壊されることを意味する)。どちらの仮説も驚くほど浅はかで、デジタル資産業界の複雑性を甘く見ているように思う。


まずはマクロから見ていこう。先週水曜日に発表された12月のFRB政策会議の議事録は、世界の市場に不安を波及させるものであった。端的に言って議事録は強気の内容を示していたのだが、これは過去二か月で政府が発表していた内容に沿うものだった。最大の違いは、FRBが利上げとバランスシートの縮小を開始する時期を約3ヶ月早める予定だということだけだ。このため新年最初の週は、グロース株への激しい売り、バリュー株への転回、長期金利の急騰(カーブのスティープ化)、そしてデジタル資産の急落という結果になった。繰り返すが、議事録の内容はまったく新しいものではなかった。しかし議事録に織り込まれたあまりの強気とコンセンサスの高さに、投資家達は意表を突かれた。


そしてここぞとばかりに、FRBの前倒しのタイムテーブルと市場の弱気な反応を見て、鳴りを潜めていたマクロ投資家達は「リスク資産の強気相場は終わった」と宣言を始めたわけだ。彼らの主張は要するにこうだ。


・これまでインフレはリスク資産投資の理由になっていたが、今は売り契機になった
・紙幣を印刷するFRBのイケイケが終わったのだから、今は全部売り時だ
・ビットコインは時間外に世界的ニュースが流れた時に利用する、年中無休フロントランニング用通貨に成り下がったので、そのうちビットコインは落ちてすべてを巻き添えにするだろう


債券ロング、ハイテク株ロング、未公開株ロング、VCロング、デジタル資産ロングなど、マクロ投資家が「すべて一つながりの取引だ」と言っていた時代に戻り、利回りが上昇しFRBのバランスシートが縮小し始めた今、もう終わりという状況に戻っている。 Cliffwater誌のChris Solarzがニュースレターで語った通り「以前は『押し目を買え』メンタリティは戦略として成立していたが、今では多くの人がパブロフの犬となり、インフレ懸念から政府が支援を取りやめれば、多くの人が檻に入ることだろう」。


これらの仮説は単純明快かつ、この一週間の間は正しいと言えた。しかし問題はこうだ。ニュースが起きれば市場が反応するが(実際にした)、量的引き締めと金利上昇の2-3年にわたる長期的なプロセスの間に、ニュースの影響を受け続けるものだろうか。今後も同様のニュースを受けて繰り返し値を下げる可能性は極めて低い。2022年内に3回の政策金利利上げを行えば、年度末には1%になるだろう。またインフレ率は現在6%を超えているが、最も楽観的な予測では2022年度末には3%に落ちると言われている。そうなると一年後の実質金利は-2~-5%になるだろう。この数字では通常、タカ派とは言えない。


さらに、量的引き締め(QT)を含むFRBの利上げサイクルが、デジタル資産や株式にとって短期的には全く弱気にならない可能性が高い理由を、我々はほんの数枚のチャートで示すことができる。


前回、タカ派的なFRBの発言が市場の大崩壊を引き起こしたのは2018年4Qで、S&Pは10月に-7%、12月にさらに-9%下落した。ちなみにこれは2016年から2018年までの2年間の利上げの後であり、利上げ期間中は株式とデジタル資産が上昇し、金融政策の終了時にFRBが干渉し過ぎたと市場が感じた時に初めて下落した。2018年4Qの-23%のタントラムを契機に、パウエルは2019年1月の利上げ継続に大きく舵を切ることになった。しかしその後FRBは再び利下げを行い、最終的に市場は再び強気相場に戻った。要するに、2016年から2019年までの利上げもQTも、株式やデジタル資産全体にはほとんど影響を与えず、QT中は当初債券利回りが上昇したものの、QT後半から激しく上昇し、パウエル中心の経済に戻ったのだ。


さらに遡ると、FRBは前回2004年6月から2006年7月まで2年以上にわたって利上げを行い、株式市場は再び利上げサイクル全体を通じて上昇し、最終的に利上げサイクルの終盤である2007年半ば(この時FRBは再び利下げを行っていた)には売り込まれ、2008年のリーマン・ショックで頂点に達していたのである。


最後に、最も重要な指標かもしれないが、先週は国債のカーブが実際にスティープ化した。歴史的に見ると、最初の利上げの後、2S10Sカーブは12ヶ月間で平均80bps平坦化し、2S10Sが反転してから18ヶ月後に景気後退が起こるのが一般的である。つまり、リセッションが起こるのは約30ヶ月後と考えられる。


ドイツ銀行のジム・リードは、「超、超、だらしのない金融緩和政策の時代が終焉を迎えつつあるようだ。市場が影響を受けるのは必至だ」と述べている。ただし、その時期については議論の余地がある。FRBが金利を引き上げ、流動性を引き揚げても、大きく、長く続く市場の反落を引き起こすわけではない。基本的に市場が持続的な下落に直面するのは、非常に長いFRBの引き上げサイクルから何年も経ってからである。


今日、リスク資産の持続的な価格下落を裏付ける証拠はあまりなく、成長軌道を考えると、2022年も多くのデジタル資産にとって好調な年となる公算が高い。弱気シナリオは非科学的に「FRBのイケイケが止まる」タイミングを評価するものばかりなので、当誌は2021年中旬と同様に、恐怖懸念は止むと考える。今年、デジタル資産が大きく下落するとすれば、それはFRBが原因ではないだろう。